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今、世界で最も注目されるオヤジ、ニック・ウースター
出典:http://www.nickwooster.com/
スチールグレーの髪をワイルドなポンパドールに仕立て、口元にはヒゲ、腕脚にはタトゥー。それでいて上品さがあり、絶妙なバランスで洗練されたスタイルが成り立っている。それが、今最も注目されているオヤジ、ニック・ウースターだ。
ニックのインスタグラムのフォロワー数は、今や約70万人にものぼる。身にまとうものだけでなく、人生そのものでファッションを体現する姿勢が、見る人を惹きつけるのだ。
今回は、そんな粋なオヤジ、ニック・ウースターに迫ってみようと思う。
20代の頃から、ファッションで頭角を現していたニック・ウースター
1960年7月2日、米国カンザス州に生まれ、現在はニューヨークを拠点に活躍するニックウースター。30年以上にわたりメンズファッションの創作に尽力してきた。
ニックにとってファッションとは、人生そのものであるように思える。
16歳の時、地元の洋服店Joseph P. Roth and Sonsでアルバイトをしていたそうだ。この頃から、ファッションへの関心があったのだろう。
大学ではジャーナリズムと広告学を専攻しているためファッションの道から逸れるのかと思いきや、そうではなかった。自分の専門分野を生かしてデパートの経営や顧客担当営業のキャリアを積んだのだ。ここでもまた、ファッションと強く関わっていた。
そして27歳を迎えた時、バイヤーとしての本領を発揮することになる。バーニーズニューヨークやバーグドルフ・グッドマンに新しい風をもたらしたのだ。
その後2011年までの間、カルバン・クライン、ラルフローレン、ニーマン・マーカスなど名だたるブランドとともにメンズファッションの第一線で活躍し、その圧倒的存在感を世界にアピールし続けてきた。
現在はコンサルタントとして、またメディア人としてメンズファッションのあり方を提案している。50代半ば、まだまだ現役なのだ。その秀逸なファションスタイルと生き方は、ニューヨークタイムズやプラザウオモ、シーンなどあらゆるメディアで取り上げられており、今もっとも注目されているオヤジと言っても過言ではない。
「物心ついた時から、ずっとこのスタイルさ」
ニックの洗練された上品な着こなしは、実に写真映えする。そのためか「メディア用に作り込まれている」と批評されることもしばしばあるという。
そんな批評に対してニックはさらりと「物心ついた時から、ずっとこのスタイルさ」と言い放つのだ。ニックの心の奥底から出た本心なんだろう。
インタビュー中、ニックは時折冗談を交えながら自分の好きなブランドやアイテムについて一つ一つ丁寧に語ってくれた。語っている内容はもちろん、話している時のなんとも幸せそうなそぶりから「あぁ、この人は本当にファッションを愛しているんだ」と感じさせるのだ。
「今抱いているファッションへの情熱は、若い頃からずっと持っていたのですか?」という質問に対して「Of course!」と即答するあたりも流石。質問しているこちら側が野暮だったと思わせる明瞭さでこう語ってくれた。
I cared about how I dressed, and I wanted to wear the nicest clothes that I could get my hands on.
僕はいつも身なりに気を使っていたし、いつでも最高の洋服を手にしたいと思っていた。
出典:https://www.vice.com/en_us/article/nick-wooster-interview-2015-111
そんなファッションへの情熱から上記の言葉がこぼれ出たのだろう。ファッションは、ニックの人生そのものなのだ。
靴へのこだわり
手入れの行き届いたこだわりの靴たち
ニックのファッションへの情熱は、手入れの行き届いた靴を見れば一目瞭然だ。手入れと言っても、なにも新品同様にピカピカに保つことだけが「手入れ」ではない。傷や使用感でさえも愛おしむかのように一足一足が「大切に」磨き上げられているのだ。
旅先でも足元に手を抜かない徹底ぶり
旅行にいく時、荷物を極力減らしたいがために靴をあまり持って行きたくない人が圧倒的大多数だろう。しかしニックは違う。旅先にも大量の靴を持っていくのだ。
2011年に来日した際も、持ってきた靴の写真を披露してくれたそうだ。スマートフォンに収められた、一列に並んだ靴の写真にもまた、ニックの愛情がにじみ出ている。
出典:http://www.houyhnhnm.jp/fashion/feature/nick-wooster_2.html
ニックならではの「崩し方」〜誰も完璧など求めていない〜
両腕と片足に刻まれたタトゥー
出典:http://www.stylebutcher.com/
両腕と脚に所狭しとなく刻まれたタトゥー。「クラシックなスタイルの中で、なぜあえてタトゥーを見せるのか?」と多くの方が驚かれることだろう。日本では、文化的にタトゥーを入れる人が少ないから尚更である。
しかし興味深いことに、ニックの両腕と脚に入っているタトゥーは「日本のデザイン」だというから驚きだ。ニックいわく、「クラシックな要素だけではつまらない。タトゥーのワイルドさがあるからこそ、自分らしさや面白さが生まれる」のだそうだ。
気合を入れすぎないスタイルの秘訣
ニックのスタイルが「洗練されている」と感じさせるのは、その組み合わせの秀逸さだろうと思う。
例えば、テーラードのセットアップを着る日には、足元には使い古したような靴やカジュアルなものをあえて合わせてみる。そんな風に、気取りすぎない「崩し」が、彼のスタイルの秘訣だそうだ。
ニックは「誰も完璧を求めているわけではない」という。だからこそ、あえて崩して自分らしさを主張する。そうすることで、新たな価値を生み出していけるのだ。
ニック・ウースターとコラボレーションしたとっておきの品々
x LARDINI
2014年発表された、”Wooster + Lardini”。エレガントを売りにするラルディーのこだわりのテーラードの中に、ニックの遊び心が散りばめてあるコレクションは、発表された当初から日本でも話題となった。
LARDINIの買取強化中!
MODESCAPEは「LARDINI」の買取を強化しています。ジャケットやコート、トップス、ボトムス、バッグ、シューズ、アクセサリーなど、まずは無料で査定いたします。くわしくはこちら。
x UNITED ARROWS
出典:http://store.united-arrows.co.jp/news/20150417_245995.html
2016年に最終シーズンを迎えた、”NICK WOOSTER + UNITED ARROWS”。クラッシックなデザインの中にも外しが効いており、ワンランク上のコーディネートを叶えてくれる。毎シーズン楽しみにしていたファンも多いことだろう。
x CADILLAC
出典:http://www.nickwooster.com/about/
知らない者はいない、高級車ブランドのキャデラック。富も象徴として世界中のセレブリティーに愛されている。高級車の代名詞とも言えるキャデラックがファッションの世界に進出したのは、2013年のこと。
我々の記憶に新しい2015年春、ニューヨークファッションウィークでニックとともに新たなコレクションを発表した。
発表したのは、$59から$2,000の幅広い価格帯の計15アイテム。上品でダンディーなスタイルの中に遊び心を忘れない、ニックならではの味が堪能できる。
xBIRCHBOX
サブスクリプションサービスの先駆者とも言えるBIRCHBOXとのコラボレーションアイテム。世界を股にかけてメンズ・ファッション界に影響を持つ、ニックならではのこだわりがディテールまで表現されています。機内用やドライブ用など、用途に合わせデザインされている。
x GREATS
出典:http://www.kicksonfire.com/greats-x-wooster-x-lardini-collection/
この冬、GreatsとWooster、Lardingがコラボしたスニーカー。ツイードの生地を使ったスニーカーは、左右で若干色が異なる。ニックの遊び心が垣間見れる一足だ。
x TIFFANY & CO.
出典:http://www.nickwooster.com/2586/
ニックも普段から愛用する一品。Tiffany、著名な宝石商人、そしてNickがプロデュースしたCT60 Calendar Watchはニューヨークの洗練された雰囲気とセクシーな繊細さが特徴。クロコダイルの光沢のあるブラックストラップと時計本体のいやらしさのないゴールドがどんなスタイルにも合う柔軟さを演出。
x THE WHITE BRIEFS
スウェーデンのファッションブランドWHITE BRIEFSとは、彼らのメリーノ羊毛を100% 使ったコレクションでコラボ。タンクトップやTシャツ、ジム用ショーツなどの肌着ラインとニットコートなどの多様なプロダクトでニックらしさをふんだんに。
x LEFFOT
出典:https://leffot.com/tag/nick-wooster-x-leffot/
Leffotとニックがコラボしてデザインしたクラシックなウィングチップをあしらったブーツ。英国のアルフレッドサージェントが製造、生産。迷彩のスウェードのアッパーにレザーのソールで完成度の高い逸品。
x HAMILTON 1883
出典:https://hamiltonshirts.com/2012/09/12/nick-wooster-street-style/
1883年からスタイリッシュかつ上質なシャツを製造しているHamilton1883がニック・ウースターとのコラボレーションで実現したオックスフォードシャツ。シャンブレー織りから日本の綿織りのものまで、ディテールにこだわった多様なスタイルを提案。写真のカモフラを取り入れたオックスフォードも不思議と野暮ったさがなく上品にまとまっている。
まとめ
洋服だけにとどまらず、時計、財布、そしてタトゥーや髪型などつま先から頭のてっぺんまですべてのスタイルが影響力のあるニック・ウースター。実は、50代から注目を浴び始めたという異色の経歴を持つ。
世界のセレブからも支持をうける彼のスタイル。一方で、「5キロ痩せてベーシックのワードローブを揃えたら、誰もが数割はいい男に見えるよ」 という彼の言葉や、実は身長が170cmに満たなかったりと、すごく着飾っているようで実はどこか親近感のある人柄やファッション全体の雰囲気が、多くのファッション好きメンズを虜にしている世界一カッコイイおやじの最大の魅力なのかもしれない。