
AUBERGE(オーベルジュ)とは?ヴィンテージと現代服の美学を融合する注目ブランド
日本発のブランドAUBERGE(オーベルジュ)は、近年、服好きの間で静かに人気を集めています。 ブランド名はフランス語で「旅籠(はたご)」を意味し、創設者・小林学氏が掲げる「旅の途中に立ち寄る場所」というコンセプトが込められています。 AUBERGEはフレンチヴィンテージに敬意を払いつつ、それを現代の服として再構築する独自の視点で注目されています。
この記事では、AUBERGEのブランド概要・特徴とともに、中古市場での買取価値について解説していきます。
AUBERGEとは
ヴィンテージの美意識と現代的な感覚を掛け合わせ、唯一無二の世界観を築いているAUBERGE。クラシックなミリタリーやワークウェアをベースにしながらも、素材やシルエットには現代的な工夫が光り、ただの懐古では終わらない「今着たい」リアルな一着を手掛けています。ではAUBERGEとはどんなブランドなのか詳しく見ていきましょう。
AUBERGEのブランド概要
AUBERGEは、2018年に日本で誕生したメンズファッションブランドです。フレンチヴィンテージに造詣の深いデザイナー小林学氏によって立ち上げられました。その地の食材を堪能しながら滞在するオーベルジュ(料理に特化した宿)のように、日本の素材と手仕事で作られた洋服の着心地を味わってほしいという思いが込められています。
ブランドコンセプトは、「懐かしくて新しい」。1900年代のフランスを中心としたヴィンテージウェアのエッセンスを取り入れながらも、現代の感覚にフィットする素材選びやシルエット調整を行い、懐かしさと新しさが共存するスタイルを提案しています。ただのレプリカではなく、当時の服作りに込められた哲学を現代的に再構築し、温もりと品格を併せ持つ一着へと昇華させているのが大きな魅力です。
設立当初から支持を集めており、限られた数量で展開されるコレクションは即完売することも珍しくありません。国内外の高感度なセレクトショップでも取り扱われるようになり、現在では「着られないほど人気」と評される存在に。ヴィンテージを知り尽くした目と、現代服への深い理解が融合したAUBERGEは、日本のファッションシーンにおいて確かな個性を放ち続けています。
デザイナー小林学
出典 houyhnhnm.jp
1966年、湘南・鵠沼に生まれた小林学氏は、神奈川県立鎌倉高校を卒業後、文化服装学院で3年間ファッションの基礎を学びました。1988年には卒業と同時に渡仏し、パリとニースで古着やアンティーク、最先端のモードに触れる日々を送ります。帰国後は、南フランスに本社を構えるデニムメーカーで商品企画として5年間勤務。日本製デニムが世界でも高く評価されていることを実感し、ものづくりの現場を深く知るため、岡山のデニム工場に転職。ここで縫製や加工などを学び、後半は営業として複数ブランドの企画にも携わります。特にジルサンダーからの依頼で製作したデニムが高く評価された経験は転機となり、1998年、自身のブランド「SLOWGUN」を立ち上げ、本格的にデザイナーとしてのキャリアをスタートさせました。20年以上続いたこのブランドは、現在では特殊オーダー形式での展開となっています。
AUBERGEは、SLOWGUNが20周年を迎えた節目に誕生しました。小林氏が長年向き合ってきたヴィンテージへの情熱、特にフレンチミリタリーやワークウェアへの偏愛が色濃く反映されたブランドです。ただ古着を模倣するのではなく、過去の美学を現代の感性で再解釈し、遊び心と真面目さが共存する、芯のある服を追求しています。その背景には、「ダメの極北」にこそかっこよさがあるという小林氏独自の哲学があります。
AUBERGEの特徴
AUBERGEの魅力は、ヴィンテージを深く理解したうえで、それを現代の感性で丁寧に再構築している点にあります。素材使いやシルエット、細部のディテールに至るまで、こだわりが詰まった服づくりは、多くのファッション好きを魅了し続けています。ここからは、AUBERGEの特徴をチェックしていきましょう。
フレンチヴィンテージの再構築
AUBERGEの根幹にあるのは、フレンチヴィンテージを現代的に再構築するという揺るぎない哲学です。小林学は、アメリカ古着が主流の中で、あえてヨーロッパ、特にフランスのヴィンテージに光を当て、その奥深い魅力を探求。軍服やワークウェア、料理人の制服といった日常着の中に潜む美意識を汲み取りながら、現存しない素材や製法にまでこだわって作り込んでいます。その姿勢は、ただの懐古主義にとどまらず、過去の名作を「いま着たい服」として再定義するもの。
生地は日本の職人の手によって丁寧に織られ、縫製にも時間と手間が惜しみなくかけられています。ヴィンテージに内在するストーリーや空気感を壊すことなく、現代のシルエットや素材といった要素を織り交ぜることで、過去と現在を架け橋するような服に仕上げています。
“完成美”と“未完成
“完成美”と“未完成美”が絶妙に溶け合っているのも魅力のひとつ。ディテールや素材選び、縫製に至るまで綿密に計算された仕立ては、まさに完成された美しさを感じさせますが、AUBERGEの哲学とは異なります。
あえて完璧に整えすぎない「余白」を残すことで、着る人自身がその服を完成させていく楽しみを味わえるように設計されています。この「未完成の美」は、服が着る人に馴染み、時間とともに変化し、個々のスタイルへと昇華していく余地でもあります。シルエットのわずかなゆとりや、絶妙に揺れる生地感は、着る人の体格や動きによって自然に形を変え、その人らしい表情を生み出します。
AUBERGEのアイテムは、完成されたプロダクトであると同時に、使い手とともに成長していくキャンバスのような存在。そんな余白のある服だからこそ、ファッションにこだわる大人たちから厚い信頼と共感を集めているのです。
着用による経年変化を楽しめる
時間とともに味わいを深めていく「経年変化」の美しさを味わえるAUBERGEのアイテム。選び抜かれた素材と、熟練の職人による丁寧な縫製があってこそ実現するこの魅力は、ただの洋服という枠を超えて、長く付き合うことで育っていく相棒のような存在を感じさせてくれます。
新品のときの張りやコシが、着るほどに柔らかくなり、シワやアタリが生まれていく過程そのものが、唯一無二の表情へと変化していく。ヴィンテージの持つ味わいを大切にしているAUBERGEだからこそ、育てる楽しみはブランドの核心といっても過言ではありません。一度袖を通したその日から、着る人の生活や動きに寄り添いながら、少しずつ深みを増していくその風合いは、買った瞬間がゴールではなくスタート。時間をかけてこそ完成する服の価値を、AUBERGEはしっかりと教えてくれるのです。
人気アイテム紹介
AUBERGEが多くのファンに支持される理由のひとつが、ヴィンテージの魅力を巧みに落とし込んだ個性的なアイテムたち。その中でも特に注目を集める人気モデルは、ブランドの世界観やこだわりが色濃く反映されています。では、人気アイテムを3つご紹介します。
VANGUARD フーデッドジャケット

VANGUARDのベースとなっているのは、米軍特殊部隊が極寒地で使用する「PCUレベル7・タイプ1ジャケット」。本来は中綿入りの防寒着を、AUBERGE流に再構築。高密度に織り上げたオリジナルの「AUBERGEクロス」を用い、綿100%ながらも防水・防風性に優れたスペックを誇ります。
注目すべきは、その生地の奥深い色合い。タテ糸にブラック、ヨコ糸にオリーブを使用することで、光の加減や角度によって印象が変わる玉虫色のような視覚的表情を実現しています。パターン設計も秀逸で、ラグランスリーブによる可動域の広さと、絶妙に調整された着丈・袖丈が特徴。起毛素材を配した首元やポケット内部など、細部に至るまで心地よさを追求しており、実用性と着心地のバランスが高次元で成立しています。
そして何より、この一着は着込むことで表情が変わる「育てる服」。経年によって現れるアタリや色の変化は、まさにAUBERGEらしいヴィンテージ感の再構築といえるでしょう。
モーターサイクル コート

フランス軍の名品M35モーターサイクルコートをベースに、現代的な感性で再構築した一着です。使用されているのは、ユーロヴィンテージの代名詞ともいえるブラックモールスキンを、カリビアンシーアイランドコットン100%で仕立てた特別な素材。深い光沢としなやかな質感がありながら、どこか無骨で力強い表情を併せ持っています。
肩幅を強調しないシングルラグランに、裾に向かって広がるAラインのシルエットが美しく、襟元には本革ムートンの着脱式ライナーを装備。さらに、内側にはミリタリーブランケットを思わせる温かみのあるライナーを配し、防寒性も抜群です。気品と迫力を同時に備えた、まさに“大人のミリタリー”と呼ぶにふさわしいコートです。
KURT モヘアカーディガン

こちらは、AUBERGEのモヘアカーディガン〈KURT〉。素材には、しっとりとしたタッチと上品な光沢を備えたベビーアルパカを使用。モヘア特有の毛足の長さがグランジ感を演出しつつも、上質素材ならではの柔らかさが大人の落ち着きをプラスしています。
シルエットはゆったりとしたルーズフィットで、サイズ展開も40と44に絞られ、オーバーサイズで羽織る前提のデザイン。肩の力を抜いてラフに着こなせる一方で、シンプルなカットソーやスラックスと合わせれば、都会的な抜け感も演出できます。さらに実用的なポケット付きという点も見逃せません。デザイン性だけでなく、日常での使いやすさにも配慮された一着。見た目のインパクトと着心地の良さを両立した、大人が楽しめるモヘアカーディガンです。
AUBERGEの中古市場と買取価値について
AUBERGEは、中古市場でも非常に高い人気と価値を維持しているブランドです。服好きの間で静かに人気を集め 、限られた数量で展開されるコレクションは即完売することも珍しくないため 、中古市場でも需要が安定しています。
特に人気アイテムとして紹介されているモーターサイクルコート 、モヘアカーディガン (KURT) 、VANGUARD フーデッドジャケット などは需要が高く、高値で取引される傾向にあります。フリマアプリなどでは、状態の良い人気モデルが定価に近い価格で取引されるケースも少なくありません。リセールバリューが高い理由として、以下の3点が挙げられます。
ヴィンテージの現代的再構築
1900年代のフランスを中心としたヴィンテージウェアのエッセンスを 、現代の感覚にフィットするよう再構築したデザイン は、流行に左右されず、長く愛用できる魅力を持っています。
卓越した品質と素材
日本の素材と手仕事にこだわり 、生地は日本の職人の手によって丁寧に織られ、縫製にも時間と手間が惜しみなくかけられています 。この選び抜かれた素材と熟練の職人による丁寧な仕立てが 、中古品としての価値を担保します。
経年変化(育てる楽しみ)という付加価値
AUBERGEのアイテムは、着用による「経年変化」の美しさを味わえるように設計されています 。着る人の時間とともに育っていく という、買った瞬間がゴールではない 付加価値が、単なる衣服以上の存在として認識されています。
これらの要素から、AUBERGEは「ヴィンテージの哲学を現代の服で楽しみたい」と考えるユーザー層に強く響き、中古市場においてもその価値が下がりにくいブランドと言えるでしょう。私たちリユース事業者にとっても、自信を持って高価買取ができるブランドの一つです。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
AUBERGEは、小林学の深いこだわりとセンスから生まれた、ヴィンテージと現代が絶妙に混ざり合った唯一無二のブランドです。クラシックなミリタリーやワークウェアの空気感を大切にしつつ、素材選びやシルエットに現代的なアレンジを加えることで、ただ懐かしいだけじゃない、「今の気分で着たくなる服」に仕上げられています。
中でもモヘアカーディガン〈KURT〉やモーターサイクルコートなどは、毎シーズン登場を待ちわびるファンが多く、ブランドの哲学を象徴するアイテムとして高く評価されています。その人気の理由は、服そのものに宿る“熱量”にあります。着る人の時間とともに育つ服であり、手間暇を惜しまない物作りがそれを支えているのです。
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この記事を書いた人
MODESCAPE
ブランド服専門の買取店モードスケープです。トレンドから過去の名作まで、ワクワクするブランドアイテムを販売・買取しています。ファッションに関する様々な記事・コラムを配信しています。

