Parabootの全貌:職人技が生む究極のフットウェア
長い歴史を持ち、伝統的な製法を用いたシューズ作りで知られる「Paraboot」。MICHAELをはじめCHAMBORD、WILLIAMといったブランドを代表するモデルを多数展開しています。近年では、ファッションブランドとのコラボレーションも積極的に行っており、ますます注目を集めています。
この記事では、そんなParabootの歴史に触れていきながら、伝統的な製法やサステナビリティを意識した取り組みによるものづくりについて解説していきます。定番アイテムやコラボモデルについても紹介しますので、是非最後までご覧ください。
Parabootとは?
Parabootは1908年にフランス・イゾーで創業された老舗シューズブランドです。創業者はレミー・リシャール・ボンヴェール氏。もともとは労働者向けにオーダーメイドの靴を手がけていましたが、1926年に訪れたアメリカでラバーブーツに出会ったことをきっかけに、大きな転機を迎えます。
当時、一般的だったレザーソールは劣化が早く、履き心地にも難があったため、彼はラバーソールを採用した革靴の開発を思い付きます。自社でラバーソールの製造・販売を始めるにあたり、ソールの原料である天然ラテックスをブラジルの「パラ港」から輸入したことから、ブランド名「Paraboot」が名付けられました。
「履き潰すことは難しい」とブランド自身が語るほど、Parabootの靴は耐久性に優れています。創業以来、クラフトマンシップを大切にし、フランス製ならではの確かな品質を守り続けています。
サステナビリティに配慮したものづくり
地球環境への意識が高まる現代において、靴づくりにもサステナブルな視点が求められています。ここでは、Parabootが行なっている代表的な取り組みについてご紹介します。

フランス国内生産と職人技
Parabootの靴はフランス・イゼールにある自社工場で一貫して生産されています。このローカルな製造体制は、輸送による二酸化炭素の排出を最小限に抑え、環境への配慮に貢献しています。
また、100年以上続くクラフトマンシップを継承するため、製造のほとんどを熟練した職人の手作業で行っているのも特徴です。革の裁断から縫製や最終仕上げまで、工程は150以上もあり、丁寧に時間をかけて作られる靴は、大量生産では得られない温もりと精度にあふれています。
天然素材へのこだわりと素材の魅力
素材には環境に配慮したオーガニックレザーや上質なカーフ・重厚感あるコードバンなど、多彩なレザーを展開しています。なかでもParabootオリジナルの「リスレザー」は、たっぷりとオイルを含ませた耐水性の高いレザーで、タフさと上質さを兼ね備えています。
表面にうっすらと白く浮き出る「ブルーム」は、オイルが染み出してきた状態のもので、これも品質の証。磨き上げれば元の艶を取り戻し、使い込むことで唯一無二の風合いが生まれます。
長く履ける構造と自社製ラバーソール
Parabootが誇るもう1つのサステナビリティは、耐久性に優れた構造設計にあります。同ブランドは世界でも珍しい「自社でラバーソールを製造しているシューズブランド」です。天然ラテックスを使用したオリジナルソールは、グリップ力に優れ、摩耗しにくいため、長く愛用できるのが特徴です。
靴の製法にも、修理を前提とした堅牢な伝統技術を採用しています。アウトドア由来の「ノルヴェイジャン製法」は高い防水性を誇り、スキーブーツや登山靴などにも使われてきた製法です。一方で「グッドイヤーウェルト製法」も採用されており、見た目の上品さに加えて、履き込むほどに足にしっくりと馴染むのが特徴です。
どちらの製法もソールの交換が可能なため、長期間にわたり履き続けることができます。こうした構造は靴の寿命を延ばすだけでなく、廃棄物の削減にもつながる、サステナブルな選択肢となっています。
定番モデル
Parabootには、堅牢な作りと独自のデザインで愛される名作が数多く存在します。ここでは、その中でも特に人気の高い定番モデルをご紹介。
CHAMBORD シャンボード

1987年に登場した「CHAMBORD」は、Parabootを象徴する定番Uチップシューズ。丸みを帯びたトゥとステッチが特徴で、カジュアルからジャケットスタイルまで幅広く対応してくれます。
ノルヴェイジャン製法により、優れた耐久性と防水性を実現。アッパーにはオイルを含んだリスレザーが使われており、雨や汚れにも強く、エイジングも楽しめます。グリップ力のあるラバーソールで、長時間の歩行にも対応。実用性とデザイン性を兼ね備えた万能な1足です。
MICHAEL ミカエル

1945年に誕生し、ブランドの原点ともいえる存在。レミー氏の孫にあたる現会長「ミッシェル・リシャール・ボンヴェール」氏の誕生を記念して作られ、ラテン語読みで「MICHAEL(ミカエル)」と名付けられました。
チロリアンシューズに着想を得たデザインで、ぽってりとした丸いフォルムと厚みのあるラバーソールが特徴。山岳地帯の農民が履いていた靴をルーツにもちつつ、現代的なアレンジで都会的なスタイルにもマッチしてくれます。
REIMS ランス

厚みのあるシルエットと丸みを帯びたトゥ、ボリューム感のあるラバーソールが特徴の「REIMS」。重厚感のあるローファーとして、他ブランドではなかなか見られない存在感を放ちます。
モカシン縫いの上から別のレザーを重ねた「被せモカ」とも呼ばれるディテールが、無骨でタフな印象を演出。雨や傷に強い堅牢な作りも健在で、スラックスやデニムとも相性が良く、コーディネートの主役になるモデルです。
WILLIAM ウィリアム

ダブルモンクストラップが特徴の「WILLIAM」は、同名・同モデルで「JOHN LOBB」からも展開されている1足です。実は、かつてParabootがJOHN LOBBのOEM生産を手がけていたことが、その背景にあります。
クラシックでエレガントな佇まいに、Parabootならではの無骨さを融合させた、非常にユニークなモデル。ビジネスからドレスカジュアルまで、シーンを問わず活躍してくれます。
AVINION アヴィニョン

シャープなスクエアトゥとUチップの組み合わせが特徴の「AVINION」。CHAMBORDとよく似たシルエットをしていますが、AVINIONのトゥ部分は少し角ばっており、ややスタイリッシュな印象に。
ドレッシーな雰囲気で、スーツやジャケットスタイルにも好相性です。足元に程よいボリューム感をもたせつつ、スマートさも演出できます。
PHOTON フォトン

ショートサイドゴアが目を惹く「PHOTON」。やや細身のラストを採用しており、Parabootの中ではシャープな印象を与える1足といえるでしょう。
サイドゴアは脱ぎ履きも簡単で、スタイルを選ばず使える点も魅力。シンプルなデザインは無骨ながらも都会的な雰囲気があり、オンオフ問わず活躍してくれます。
PACIFIC パシフィック

「PACIFIC」はParabootが展開するサンダルの中でも特に人気の高いモデル。サンダルならではの軽やかさはそのままに、つま先やヒールカップがしっかり覆われたデザインによって、程よいドレッシーさも備えています。
グルカサンダルをベースに、頑丈なラバーソールと上質なレザーアッパーを採用。足元に重厚感を出したい夏のスタイルにもぴったりです。通気性や快適な履き心地、耐久性を兼ね備えており、大人の夏カジュアルに欠かせない存在といえるでしょう。
CHAMFORT シャンフォート

セミドレスラインのサイドゴアブーツ「CHAMFORT」。すっきりとしたフォルムが特徴で、洗練された印象を与えてくれます。ゆとりのある履き口でバランスの良いシルエットが魅力です。
ソールにはParabootオリジナルの「GALAXY SOLE」を採用。グリップ力の高いラバーは地面の濡れる雨の日も活躍してくれます。
豊富なコラボモデル
Parabootの魅力は定番モデルだけにとどまりません。世界中のファッションブランドとのコラボにより、個性豊かで洗練された別注モデルが次々と生まれています。
Pyrenex
出典 e-begin.jp
2024年に発表した「Pyrenex」とのコラボでは2種類のアイテムをリリースしました。1つはトレッキングブーツである「AVORIAZ」です。1992年に誕生し、2007年に復刻版が登場。時代を超えて愛されるこのブーツには、リサイクルラバーが採用されています。
一方は、上質なフレンチダックを使用したダウンジャケット「AUDOUBERT 2 PARABOOT」。こちらもサステナブルな製品となっており、リサイクルナイロンの生地で作られています。
Studio Nicholson
出典 qui.tokyo
2024年にリリース。Parabootの名作MICHAELをベースにした「Studio Nicholson」とのコラボレーションモデルです。
アッパーには「ディアスキン(鹿革)」を採用。牛革に比べてしなやかで柔らかく、経年による型崩れが起こりにくいという特長があります。カラーは同年冬のコレクションから着想を得たダークブラウン。落ち着いたトーンに、シューレースのストライプ柄が絶妙なアクセント。上品ながらも個性を感じさせる1足に仕上がっています。
Engineered Garments

2023年に「Engineered Garments」とのコラボ第2弾として登場した「EG CLUSAZ」は、トレッキングブーツをベースにした別注モデルです。カラーはグリーンとブラックの2色展開。
トレッキングブーツ特有のディテールである「Dリング」は、通常モデルよりも多く配置されており、よりハードな印象に仕上がっています。さらに、シューレースには伸縮性のある素材を採用しているため、着脱がスムーズに行えるのも魅力。
Paraboot×KAPTAIN SUNSHINE

「KAPTAIN SUNSHINE」との第2弾となるコラボが2024年に発表されました。リリースされるコラボモデルはPHOTON。
通常では、アッパー部分にスムースレザーがあしらわれていますが、シボ感の美しいグレインレザーをチョイス。上品な風合いが、足元をより華やかに飾ってくれます。グレインレザーはその表面の模様から、水の染み込みを目立たなくしてくれるメリットがあります。よって、雨の日にも大活躍してくれる1足です。
Brooks Brothers

Parabootの名作シャンボードをBrooks Brothersらしい視点でアレンジした、2024年リリースの別注モデル。ブランドのコンセプトカラーであるオールドネイビーを採用し、落ち着いた色合いで展開されています。
通常は白で縫われているステッチも、ソールと同色のブラックに統一。程よくカジュアルさを残しつつも、洗練された大人の雰囲気を演出しています。さらに、あえてParabootのブランドタグを取り外すことで、特別感をプラス。その代わりとして、インソールには両ブランドのダブルネームが刻印されています。
District UNITED ARROWS

2024年発表の「District UNITED ARROWS」とのコラボモデルでは、CLUSAZをベースにさまざまなアレンジが加えられています。
アッパー部分にはダークブラウンのシボ革をあしらい、Dリングはマットなガンメタリックを採用。ラフなトレッキングブーツも、シックなムードに仕上がっています。また、シューレースはブラックとブラウンの2色が付属。その日の気分によって、違ったスタイルを楽しむことができます。
Y’s
出典 fashionsnap.com
2021年に発表された「Y’s」とのコラボレーションでは、モードブランドらしさが際立つ別注モデルが登場しました。ベースとなっているのはParabootのチロリアンシューズ「MIRABEAU」です。
被せモカ仕様のスムースレザーとスエードアッパーの組み合わせは、すべてブラックで統一され、洗練されたモードな印象に。 さらに、タン部分にはラビットファーがあしらわれており、ラグジュアリーな雰囲気もプラスされています。本来「MIRABEAU」はメンズモデルのみの展開でしたが、このコラボレーションでは特別にウィメンズサイズも用意されています。
他にも多彩なコラボモデルを展開
上記に挙げた以外にも多彩なコラボモデルがリリースされています。
2021年
「NEEDLES」ではメンズとウィメンズからブーツ「PERIGORD」が登場。ラギッドな印象だったブーツをブラックに統一させることで、スタイリッシュさを演出しています。
2022年
「nonnative」はベージュモカシンシューズ「THIERS」をリリース。1960年代に発表された人気モデルです。アッパーのスムースレザーをスエードに変更し、アイレットはシルバーにアレンジ。ワークブーツのような仕上がりが特別な印象を与えます。
2023年
「nanamica」ではメンズシューズの「MILLA」とウィメンズシューズの「MILLY」をローンチ。MICHAELのハイカット版とされるチロリアンシューズをオールブラックにアレンジしました。
2024年
「OUR LEGACY WORK SHOP」ではデッキシューズ「MALO」が登場。ブラックとナチュラルカラーの2色が展開され、アッパー部分にデザインされた太極図モチーフがポイントです。
また「agnes b.」との初コラボレーションでは、アンクルブーツ「Imbattable」を中心としたカプセルコレクションを展開。ソックスやキーリングといった小物もラインナップされています。コラボモデルにはagnes b.のロゴが入ったシューレースや、染色されたアンクルパッチがあしらわれており、特別感のある一足に仕上がっています。
今後のコラボモデルにも要注目です。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。長い歴史と卓越した職人技術を背景に、伝統的なスタイルと現代的な要素を組み合わせたParaboot。その耐久性と快適性、そしてサステナビリティへの配慮から時代を超えて愛される理由のひとつです。今後もブランドとのコラボレーションなどを通し、さらなる注目を集めていくことでしょう。
モードスケープではParabootの買取を強化しています。アイテムの価値を適正に反映し、最高額を見出す査定をいたします。のアイテムを売りに出すか迷っている場合にも、是非モードスケープにご相談下さい。とりあえず値段だけ聞いて検討したいという場合は、LINE査定などで査定額を見積もることも可能です。
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Parabootの買取について
この記事を書いた人

小川剛司 (MODESCAPE 編集部)
ライター・ファッションモデル。学生時代のアルバイトからファッションの世界へ。大手セレクトショップの販売員、ECスタッフを経て、長年携わったアパレルの経験と知識を活かしWEBライターに。数々のファッションマガジンサイトで執筆を行い、メンズ・レディース問わずおしゃれを発信しています。現在は韓国を拠点にモデル活動しており、更なるファッション知識を探求中! Instagram:@t_t_k_k_s_s