Barbourとは?オイルドジャケットに代表される英国ブランドの全貌
雨が多い英国で、100年以上も愛され続けているブランド「Barbour(バブアー)」。その名前を聞くと、独特の艶と香りを持つ「オイルドジャケット」を思い浮かべる人も多いでしょう。Barbourは、もともと漁師や港で働く人たちのための丈夫な仕事着であり、英国紳士のカントリーウェアとして親しまれてきたBarbourは、今ではおしゃれなファッションアイテムとして再び大きな注目を集めています。
この記事では、Barbourが歩んできた歴史や、モノを長く大切にする考え方、そして現代で再び人気が出ている理由まで、古着としての魅力にも触れながら、そのすべてを分かりやすく紹介していきます 。
Barbourの歴史と背景
まずは、Barbourがどのような道を歩んできたのか、その歴史を紐解いていきましょう。
創業者ジョン・バブアーの先見性
出典 japan.barbour.com
創業者ジョン・バブアーは、1894年にイングランド北東部の港町サウス・シールズでBarbourを設立しました。彼のビジネスは、単に服を売ることではなく、厳しい北の海で働く漁師や船乗りといった人々の生活を支えたいという強い想いを持っていました。この想いから生まれたのが、防水性と耐久性に優れた「オイルドクロス」という生地を使った作業着で、これがBarbourの原点です。
当時としては画期的なこの防護服の評判は瞬く間に広まりました 。ジョン・バブアーの先見性は製品開発だけにとどまらず、いち早くカタログによる通信販売を導入するなど、ビジネスの才能もあり、ブランドの土台をしっかりと作りました。その後、Barbourは実用性を保ちながら、狩猟や乗馬、フィッシングといった英国紳士のアクティビティへとフィールドを広げ、現在では都会のストリートにまで進出し、総合的なライフスタイルブランドとしての地位を確立しています 。
ロイヤルワラント:英国王室が認めた品質
Barbourの品質の高さは、英国王室からも認められています。英国王室には、自国の優れたブランドに御用達のお墨付きを与える、「ロイヤルワラント(王室御用達の証)」という制度があり、このお墨付きを与えることができるエディンバラ公フィリップ王配、エリザベス2世女王、そしてチャールズ3世国王の3人からロイヤルワラントを授かっています。これは、Barbourが英国を代表するブランドであることの何よりの証で、ロイヤルワラントを与えることができる3人全員から認定された数少ない3ワラント企業でもあります。
初めてロイヤルワラントを授かったのは1974年のことでした。王室のメンバーがごく自然にBarbourのジャケットを羽織って公の場に姿を見せることも珍しくありません。その姿は、どんなに着古しても修理を重ねて一着を大切にし続けるという英国人の価値観を、王室自らが示しているのです。この揺るぎない信頼こそが、Barbourを特別な存在にしています。
このように名誉ある3ワラントの称号ですが、ワラントの保持には5年ごとの更新が必要なほか、ワラントを授けることができる者が亡くなった場合、その紋章は無効となり、2年以内に紋章の掲出を取りやめる必要があります。2021年4月にエディンバラ公フィリップ王配、2022年9月にはエリザベス女王が逝去されたため、2022年秋冬より3ワラントから2ワラントにデザインを変更し、2023年春夏からはチャールズ新国王の1ワラントのみとなりました。
英国カルチャーのアイコンとして
Barbourは、音楽や映画といったイギリスのカルチャーとも深いつながりがあります。例えば、世界最大級の音楽フェス「グラストンベリー・フェスティバル」では、泥だらけの会場でミュージシャンや有名人がBarbourをおしゃれに着こなす姿がおなじみの光景になっています。
また、映画「007 スカイフォール」でジェームズ・ボンドが着たことで、そのかっこいいイメージは世界中に広まりました。また、モーターサイクルカルチャーとの関わりも深く、1964年には俳優のスティーブ・マックイーンがISDT(国際的なモーターサイクルラリー)にアメリカ代表チームの一員として参加した際、Barbourのスーツを着ていたという有名な話もあります。働く人のための服として生まれたBarbourは、いつしか自由のシンボルのように、カルチャーの中でも大切な存在になったのです。
Barbourを象徴するオイルドジャケット
Barbourの象徴とも言えるのが「オイルドジャケット」です。ここでは、その魅力をさらに詳しく見ていきましょう。
知っておきたい3つの代表モデル
Barbourのジャケットには様々なモデルがありますが、Barbourの哲学を最も色濃く反映している代表的な3つのモデルを紹介します。
・Bedale ビデイル
1980年に乗馬用として作られたショート丈のジャケットです。馬に乗りやすいように、裾裾にはサイドベンツが施されています。また、袖口はリブ仕様になっているので、風が入りにくいのも特徴です。軽くて動きやすいので、タウンユースとしても馴染みやすく、最も人気の高いモデルの一つとなっています。
・Beaufort ビューフォート
1983年に狩猟用として生まれたミドル丈のジャケットです。スーツなどのジャケットの上からでも羽織れるよう、Bedaleよりもややゆったりとしたシルエットが特徴です。また、背中には「ゲームポケット」と呼ばれる大きなポケットがあり、元々は捕まえた獲物を入れるためのものでしたが、現代ではタブレットなどを収納するのに便利です。
・International インターナショナル
1936年にバイクに乗るために作られた、歴史の古いモデルです。胸元に斜めに配されたポケットや、ウエストのベルトが特徴的なデザインです。また、俳優のスティーブ・マックイーンが愛用したことで、バイク乗りのおしゃれなジャケットとして、不動の人気を誇っています。
オイルドクロスの奥深い魅力
Barbourの代名詞であるオイルドクロスは、高密度のコットン生地に独自のワックスを染み込ませることで、雨や風を寄せ付けない、優れた防水性・防風性・耐久性を実現した素材です。このワックスは永久的なものではなく、着用を重ねることで徐々に抜けていきますが、それこそがBarbourの一番の魅力でもあります。
定期的にワックスを塗り直す「リワックス」を行うことで、防水性は蘇り、また新たな表情を見せてくれます。新品の深い色合いから、着用によって生まれるシワやアタリ、そして太陽の光を浴びて少しずつ褪色していく様は、まさに「ジャケットを育てる」という感覚。この経年変化こそが、世界に一着だけの自分だけのBarbour完成していくのです。
【取り扱いの注意点】
オイルドジャケットは、洗濯機やドライクリーニング、お湯の使用は厳禁です。ワックスが抜け落ち、防水性能が失われる原因となります。汚れは冷たい水を含ませたスポンジやブラシで優しく拭き取るのが基本です。
時代を超える機能美
Barbourのジャケットに施されたディテールの数々は、すべてが実用性から生まれたものです。
ディテール | 特徴 |
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コーデュロイの襟 | 襟を立てた際に肌触りが良く、首元を風から守ります。 |
ラグランスリーブ | 肩の可動域が広く、アクティブなシーンでもストレスを感じさせません。 |
ハンドウォーマーポケット | ポケット内側はモールスキンなどの暖かい生地で、冷えた手を温めます。 |
タータンチェックの裏地 | Barbour家に伝わるオリジナルのチェック柄であり、ブランドのアイデンティティを象徴します。 |
これらの実用的なディテールが、結果として無駄のない洗練されたデザインを生み出しています。ワークウェアならではのたくましさと、英国ブランドらしい品格。この絶妙なバランスが、Barbourのデザインが時代を超えて愛され続ける理由なのです。
なぜ今、Barbourは再び注目されるのか?
クラシックなブランドでありながら、Barbourが今また多くの人々を惹きつけているのには、いくつかの理由があります。

伝統と革新の融合
Barbourはクラシックなイメージを大切にしながらも、常に新しい風を取り入れることに意欲的です。近年では、KAPTAIN SUNSHINEをはじめC.P. CompanyやEngineered garment、NOAH、The Soloist.、Crocsなど、国もジャンルも超えた多彩なブランドとのコラボレーションを次々と発表しています。
こうした新しい試みは、Barbourの伝統的なスタイルに新たな解釈を加え、これまでのファンはもちろん、ファッションに敏感な若い世代をも魅了しています。こうした伝統と革新の融合が、Barbourを常に現代的な存在としてアップデートし続けているのです。
サステナビリティとリペア文化
「サステナビリティ」という言葉がファッション界で注目される以前から、Barbourは「一着を長く、大切に着る」という哲学を貫いてきました。それを象徴するのが、100年以上にわたって提供され続けている、破れた箇所を補修(リペア)し、抜けたワックスを再び塗り込む(リワックス)のサービス「Wax for Life」です。
さらに、着られなくなったジャケットを回収し、職人が修理して新しい価値を与える「Barbour Re-Loved」という活動も行っています。これは、製品の寿命を最大限に伸ばそうとする、まさに現代のサステナビリティを体現するものです。
“一点物”としての価値
「長く着ること」を前提に作られているBarbourは、中古市場でも絶大な人気を誇ります。現行モデルにはない古いディテールを持つ一着や、ロイヤルワラントが一つや二つしか付与されていなかった時代のモデルは、コレクターズアイテムとして高く評価されています。
新品にはない、長年着ることで生まれた独特の風合いや、プロによるリペアの痕跡さえもが「味」として評価されるのがBarbourの面白みでもあります。
リユース事業者が見る、Barbourの真価
新品だけでなく、時を経た古着にも特別な価値が見出されるのがBarbourの大きな特徴です。ここではリユース市場での魅力に迫ります。
中古市場でこそ輝く、タイムレスな魅力
リユース市場において、Barbourはとても特別な存在です。「着古されていること」がマイナス評価になるどころか、むしろ付加価値になり得るからです。
経年変化という価値
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普遍的なモデル
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希少性の探求
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高く買い取ってもらえるモデルの特徴
大切に着てきたBarbourを手放す時が来たら、モードスケープではその価値をしっかりと評価し、お買取させていただきます。特に、以下のようなモデルや特徴があるものは高価買取が期待できます。
モデル | 高価買取の理由 |
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ヴィンテージの希少モデル | 80年代以前の「1ワラント」「2ワラント」タグが付いたものや、ソルウェイジッパーといった特定のディテールを持つ旧モデル。 |
人気ブランドとのコラボ品 | 近年では、KAPTAIN SUNSHINEやC.P. Company、Engineered garment、Supremeといった人気ブランドとのコラボレーションアイテム。 |
コンディション | もちろん、状態が良い方が評価は高くなります。オイルが適切にメンテナンスされており、生地の破れや擦れが少ないものは高く評価されます。 |
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。Barbourというブランドの根底には、「モノを大切にする」という精神が流れています。流行が次々と変わる今の時代に、一着の服を何十年も愛用し、次の世代にまで受け継いでいくというBarbourの文化は、とても魅力的です。古着でBarbourを手に入れることは、そのジャケットが過ごしてきた時間や物語も一緒に受け継ぐことです。新品では味わえない、時間だけが作り出す特別な価値を、ぜひ一度その手で感じてみてください。
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MODESCAPEでは、Barbourの買取を強化しています。Barbourの魅力でもあるオイルドアイテムや、着古したものでもしっかりオイルのメンテナンスをされた状態のお品物は大変需要が高いです。モードスケープではアイテム一つ一つの価値を理解し適正な査定をいたします。お買い取りをご検討の際は、お気軽にご相談ください。
Barbourの買取について
この記事を書いた人

MODESCAPE
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