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LOEWEの歴史、そしてLOEWEの快進撃の立役者 、デザイナー「ジョナサン・アンダーソン」とは

2023年9月27日

LOEWE

LOEWEの歴史、そしてLOEWEの快進撃の立役者 、デザイナー「ジョナサン・アンダーソン」とは

1872年に立ち上がった歴史あるブランドLOEWE。
その歴史はルイヴィトンよりも古く、LOEWEの生み出すアイテムはシンプルながら、他に類を見ない独創性があり老若男女問わず多くの層に愛されています。
この記事ではLOEWEの歴史や、LOEWEの現在におけるまでの人気の立役者であるジョナサン・アンダーソンについて解説していきます。

LOEWEの歴史

LOEWEの創業はごく小さな工房から始まったとされています。 どのような道筋を辿って、世界的メゾンに位置するブランドになったのでしょうか。
LOEWEの歴史を振り返ってみます。

LOEWEとは

ロエベ工房
出典 glamsquadmagazine.com

「エンリケ・ロエベ・レスベルグ」という人物によって1872年に立ち上げられたLOEWEですが、ルーツはさらに古く1846年にまで遡ります。
皮革製品の大国であるスペイン・マドリード市内のロボ通り(現、エチェガライ)にて、数人のスペイン人職人によって開かれていた皮革工房こそが、LOEWEのルーツとなります。もちろん現在と違いアパレル製品の取り扱いはなく、当時はバッグや財布、コインケース、たばこ・葉巻入れといったレザー製品のみでした。

その後、ドイツ人の職人であるエンリケ・ロエベ・レスベルグがマドリードに訪れた際この工房を見学。彼は職人達が作る革製品の品質の高さ、シルクのような上質な素材、そして何よりその技術力に惹かれパートナーとして工房で一緒に働くことを決意します。
手がける製品はどれも確かな品質で高級感があるため、次第にマドリードの貴族階級や富裕層の中で評判に。その名声に伴い、工房の規模も次第に大きくなっていきました。

潤沢な資金を元手に、彼自身の名を冠した「E.ロエベ ブティック」を店舗併設型の工房として、1892年に立ち上げます。
1905年には顧客の一人であったコンキスタ公爵夫人によりスペイン王室に紹介されたことで、アルフォンソ13世から王室御用達の称号を授与され、レザーブランドとしての地位を確立しました。ブランドの規模はさらに大きくなり、1949年にはスペイン国内に主要工場を建設。
この頃から製品の幅も広がり、インテリア小物や靴、トラベル用品も商品ラインナップに加わります。

1965年にウィメンズ・プレタポルテ、1983年にはメンズ・プレタポルテをスタートさせ、現在におけるLOEWEの事業形態へと繋がります。
1989年に海外初進出となる店舗をフランス・パリにオープン。その後を続くようにして世界中の主要都市へ展開していきました。
1996年、LOUIS VUITTON、DIORといった有名ラグジュアリーブランドを含む世界最大級のコングマリオット(複合企業)である「LVMHグループ」の傘下に。
レザー製品とプレタポルテを中心に事業を展開しています。

アイテムの特徴

LOEWEのアイテムの特徴として第一に挙げられるのは「革製品」でしょう。
皮革大国であるスペインからスタートしたブランドということもあって、こだわりが見受けられます。タフさがありながらも肌触りが柔らかい、羊革のナッパレザーを使った製品は多くの人から支持されており、「ロエベナッパ」とも呼ばれるほどです。

そんな最高品質の革とスペインの職人による技術が合わさることで、世界中から信頼され愛される製品がリリースされるのです。
その中でもブランドアイコンである「アマソナ」や「パズル」、「ハンモック」といったバッグはとても人気があります。もちろん、LOEWEの伝統的な革製品だけでなくアパレル製品にも注目が集まっています。かつてはハイブランドであるがゆえに、富裕層マダム向けという印象がありましたが、モダンで先進的ながらも落ち着いたデザインは若い世代にも好評です。

洗練されたシルエットやデザインはどんなスタイルにもフィットし、トレンドファッションにも取り入れやすくなっています。
L字を組み合わせた「アナグラム」は無機質の中にどこか高級感を漂わせた独創的なロゴでLOEWEの顔として様々な製品にデザインされています。


歴代デザイナー

1965年から始まったLOEWEのプレタポルテ。
デザイナーとして過去に「カール・ラガーフェルド」や「ジョルジオ・アルマーニ」といったファッション界におけるレジェンドらが携わったとされていますが、実際のところはっきりとした情報はありません。
ここではクリエイティブディレクターを務めた「ナルシソ・ロドリゲス」から歴代のデザイナー達を掘り下げていきます。

ナルシソ・ロドリゲス

ナルシソ・ロドリゲスは1961年、アメリカ・ニュージャージー州に生まれます。ダナ・キャランやアレキサンダー・ワン、マーク・ジェイコブスといった著名なデザイナーを輩出した「パーソンズ美術大学」卒業。

ダナ・キャランのアシスタントになったあとは「CALVIN KLEIN」でレディースのデザイナーを務めます。
1995年に「TSE」のメンズ・レディースのデザインディレクターを担当し、その2年後には念願であった自身のブランドである「NARCISO RODRIGUEZ」をスタートさせます。
1998年SSではミラノコレクションに初参加、2001年FWからはニューヨーコレクションに参加しています。

そんな彼女は1998年SSからLOEWEのクリエイティブディレクターを担当します。デザインの特徴はルーツであるアメリカ特有のテーラリングをベースにしながらも、ヨーロッパのアーティスト的なテイストを持ち合わせている点です。
これはLOEWEのデザイナーを務める直前にイタリアのブランドである「CERRUTI」に在籍していたことに由来するでしょう。クラシックなスタイルを尊重しつつ、モダンなものを求めデザインしていた彼女ですが2002年SSにクリエイティブディレクターを辞任します。

ホセ・エンリケ・オナ・セルファ

ナルシソ・ロドリゲスの後任は「ホセ・エンリケ・オナ・セルファ」が務めます。
1975年、彼はLOEWEが創業された国でもあるスペイン人の両親から生まれます。1999年にベルギーのファッションスクール、ラ・カンブルを首席で卒業。その時、学校が同じだった「オリヴィエ・ティスケンス」の創作活動でパターンカッターやニットウェアデザイナーとして経験を積みます。彼自身、2000年に会社「JE Ona Selfa」を設立。FWに開かれたショーは好評でした。

LOEWEのクリエイティブディレクターを担当したのは2002年FW。その後6年間、精力的に務めることになります。
彼のルーツでもあるラテン系でエネルギーのあるデザインは評価が高く、エレガントで情熱的なムードが製品に表現されています。フラメンコダンサーの力強いフィジカルな要素からインスピレーションを受けており、今までとは違った新鮮さが大衆の目を惹きました。

2007年には「ナッパアイレ」をリリース。ロエベナッパを使った高級感満載のバッグは、バックルやリング等の金具を一切使っておらず軽量化を実現。
スペイン語で空気を意味する「アイレ」は、文字通り「空気のような軽さのバッグ」を表しています。

スチュアート・ヴィヴァース

2008年からは「スチュアート・ヴィヴァース」がクリエイティブディレクターを担当。彼は1973年、イギリス出身。
卒業生には「ヴィヴィアン・ウエストウッド」がいる、ウエストミンスター大学でファッションデザインを学びます。卒業後は「CALVIN KLEIN」「BOTTEGA VENETA」「GIVENCHY」といった錚々たるハイブランドを渡り歩き「マーク・ジェイコブス」の下、「LOUIS VUITTON」で腕を磨きます。

その後2004年にロンドンへ渡り、老舗レザーバッグでお馴染みのブランドである「MULBERRY」でクリエイティブディレクターとして活躍。
彼のキャリアを通じて、他ブランドから優秀な人材をMULBERRYに招き入れ、新たなデザインチームを結成。2006年には「ブリティッシュ ファッション アワード」にて「アクセサリー デザイナー オブ ザ イヤー」を受賞しています。

その翌年にLOEWEのクリエイティブディレクターに就任。 アクセサリーやプレタポルテをはじめ、世界中にある120店舗ものショップイメージを統一するクリエイティブ面の全てを担当しています。


ヒットの立役者ジョナサン・アンダーソン

ジョナサンアンダーソン
出典 jwanderson.com

ファッションブランドはデザイナーの実力によって、ブランドの運命が左右されると言っても過言ではありません。そんな中、LOEWEに革命をもたらした「ジョナサン・アンダーソン」。
彼の経歴や活動を探っていきます。

経歴

1984年、イギリス出身のジョナサン・アンダーソン。
元々は俳優志望でアメリカの俳優学校で学びながら俳優業をしていました。そんな彼がデザインに興味を持つきっかけとなったのが舞台衣装。そこからデザイナーを志し、名門である「ロンドン芸術大学」へ通うことになります。

日々ファッションの勉強をする傍ら「PRADA」に携わる仕事も並行し、2005年に卒業。そのたった3年後、2008年に若手メンズウェア・デザイナーをサポートするプロジェクト「MAN」支援のもと、自身のブランドを立ち上げます。
それが「J.W.ANDERSON」です。

メンズのみから始まったブランドですが、すぐさまレディースラインもスタート。
伝統とモダンが相まったスタイル、ロンドンのストリートからインスピレーションされたデザインは瞬く間に世間の興味を惹き、2009年FWにロンドンで初のコレクションデビューを果たします。

2010年FWのコレクションでは「英国ファッション協議会」によって贈られる、若手デザイナー支援プログラム「NEWGEN」のスポンサーシップを獲得。そんな新進気鋭なデザイナーであるジョナサン・アンダーソンは2013年、LOEWEのクリエイティブディレクターに就任します。

ロエベでの活動

29歳という若さで世界的に有名なブランドのトップデザイナーとなったジョナサン・アンダーソン。それによりLOEWEは生まれ変わります。
まず彼が重視したのはLOEWEの持つ伝統的なクラフトマンシップでした。上質な素材、品質・技術力の高さ。 それらと彼の持つ、クリエイティブでモダンなセンスの融合はモードを感じさせる斬新なものとなりました。

クリエイティブディレクター就任後、彼が手がけた「パズル」「ハンモック」はLOEWEのアイコンバッグとなり、次第に大衆の心を掴んでいきます。LOEWEの再構築を成功させたと言えるでしょう。創業当時から時代の一歩先を進んでいたLOEWEですが、これまでにないアプローチが実現。彼のクリエイティブ力はLOEWEをさらに高いレベルへと昇華させました。

またブランドのアイデンティティでもあるレザーの可能性を広げるべく「ボウルズプロジェクト」をスタート。レザーの加工技術に陶芸の手法を応用するという斬新な発想で、まるで陶芸品のようなレザーが誕生しました。
そして彼のインスピレーションが落とし込まれたのはLOEWEの製品だけでなく、シンプルに一新された新ロゴを作ったり、店舗デザインにもこだわりをみせています。
表参道店ではウィンドウディスプレイが存在しない、ガラス一枚で店内と外を仕切った作りを提案。 オープンなレイアウトは日本建築から影響を受けたと言います。

実はかなりの日本通

LOEWEがジブリ作品とのコラボを発表したことに驚いた人は多いと思います。
実はジョナサン・アンダーソンは親日家としてとして知られています。ジブリ作品が好きなことはもちろん、アートやクラフトを好む彼は日本の伝統工芸も興味を示しています。

2016年SSのメンズコレクションでは「日本への旅」をテーマにデザインされたウェアを発表。
彼が実際に来日して感じたことや心が動かされたカルチャーをコレクションに投影しています。 漫画のコマ割りや日本語、日本人なら「あっ」と思うロボットが彼の世界観を通して、モードに落とし込まれています。

2016SS
出典 fashion-press.net

また2017年にファーストリテイリングからオファーを受けたことで「UNIQLO」の協業デザイナーを務めます。シンプルでありながらもさりげなくラグジュアリーさを感じさせるデザインはとても好評で、日本で大人気になりました。


ジョナサン・アンダーソンが世に送り出した名作の数々

LOEWEのクラフトマンシップを大切にしつつ、自分色を絶妙なバランスでブランドに落とし込んできたジョナサン・アンダーソン。
そんな彼が手がけたアイテムを紹介します。

・ハンモック

ハンモック

2016年SSのパリコレクションにて初めて発表された「ハンモック」。
その名の通り、木陰に揺れるハンモックからインスピレーションされたアイテムです。普遍的なバッグとしてカテゴライズできないそのシルエットは多くの人の心を掴みました。

サイドパネル、ショルダーストラップを使って様々な形へと変化。ポシェットやボディバッグといった、日常でユースフルな持ち方が楽しめるハンモックは6WAYバッグとしてデザインされています。コーディネートやシーンに合わせて柔軟にフィットしてくれます。

・パズル

パズル

ジョナサン・アンダーソンがLOEWEのクリエイティブディレクターに就任してから初めて手がけたのがこの「パズル」。幾何学的なレザーパネルをいくつも組み合わせることで立体的な上、折りたたむこともできるという斬新なバッグです。

LOEWEの創業当時から培われたレザー加工技術によって、細部にまでこだわりを持った作りになっています。
まるでパズルのようにピースが組み合わされた特殊なデザインは、見る角度によって表情を変えてくれるのがポイント。

・フィッシャーマンデニム

フィッシャーマンデニム

2015年SSのコレクションにて発表された「フィッシャーマンデニム」。LOEWEのベーシックな位置付けのこのパンツは文字通り、釣り人からインスパイアされたデニムです。
目を惹くのが総丈の4分の1を占めるロールアップ幅。ただのロールアップではないこのインパクトは当時話題になりました。LOEWEのアイコニック的なアイテムですが着飾って見えないのはジョナサン・アンダーソンのクリエイティブ力ならでは。モードと日常着の距離をシームレスに繋げてくれています。

・ジブリコラボアイテム

ロエベ×ジブリ
出典 loewe.com

前述したようにジョナサン・アンダーソンは日本のカルチャーにとても関心を持っています。そんな彼はジブリ作品とのコラボを2021年からスタートしました。
第一弾は「となりのトトロ」。翌年は「千と千尋の神隠し」。第三弾となる今年は彼の最も愛する作品である「ハウルの動く城」です。

どのコラボでも共通しているのがただ単にデザインをプリントしている訳でなく、しっかりLOEWEの世界観に落とし込んでいるということ。元となる絵柄とそれに見合った素材・色使い・アイテムをマッチさせることで、ポップでありながらも高級感を感じさせてくれます。
アナグラムロゴからキャラクターが顔を覗かせていたり、「アマソナ」「パズル」「ハンモック」 のようなアイコンバッグにもキャラクターがデザインされていて、双方のファンを歓喜させてくれるコラボとなっています。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。
LOEWEのルーツである伝統的なクラフトマンシップはデザイナーが何度変わろうとも現在まで受け継がれています。今でも世間の興味を惹き、世界的メゾンとしての位置付けが揺るがないのは、ジョナサン・アンダーソンのクリエイティブな発想力による「ブランドの再構築」が大成功を収めたおかげだと思います。
彼が生み出すこれからのLOEWEが非常に楽しみです。

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この記事を書いた人

MODESCAPE

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