MM6ってMaison Margielaと何が違うの?この2ブランドの関係性に迫ります!
モード界に君臨し、もはや知らない人はいないであろう「Maison Margiela」。モードスケープでもMaison Margielaは人気が高く、特にアーカイヴアイテムは盛り上がりを見せています。 そんなMaison Margielaには「カレンダータグ」というコンセプトごとに番号が割り振られています。
その中の一つに「MM6」が存在しますが、Maison Margielaと何が違うのかを皆さんはご存知でしょうか?MM6は女性ラインとして誕生しましたが、近年では性別に関わらず着こなしができるブランドとして注目を集めています。
この記事では、Maison MargielaとMM6の基本的な知識から振り返りながら、デザインや素材などの違いを解説するとともに、それぞれのアイコンアイテムも紹介していきます。
Maison Margielaとは?
「アンチモード」や「脱構築」といったワードをファッション界に浸透させたMaison Margiela。創業者であるマルタン・マルジェラが発表したアイテムやコレクションは当時斬新なものでした。
Maison Martin Margielaの誕生
1988年、フランス・パリで「Maison Martin Margiela」が設立。ブランドが始まった1年後のSSパリコレクションで初デビューを飾ります。当初からブランドの世界観を存分に発信していて、ファッション界に大きな話題を与えました。それはブランド名が「Maison Margiela」に変更された今でも変わらず、多くのファンを獲得し続けています。
Maison Margielaがテーマとしていたのが「アンチモード」。モードとは「最先端のデザインや流行」を示します。1980年代ではゆったりとしたスタイリングが流行、いわゆるモードとして世間から人気を集めていました。それに疑問を持った創業者である「マルタン・マンジェラ」はその逆をついたコレクションを披露。あえてタイトなシルエットのジャケットや身体のラインを拾うパンツを発表したことで、以降タイトシルエットがトレンドなスタイルへと変化します。
ブランドが今のファッションに影響を与えたのはアンチモードだけではありません。マルタン・マルジェラ が得意としていた「脱構築(デコンストラクション)」はとても新鮮なスタイルでした。煌びやかで着飾ったファッションスタイルや高級志向そのものが、当時人気を博していました。そこで発表したのが既存のスタイルを脱構築し、新しい解釈として再構築したのが、今では当然なダメージジーンズやミリタリーファッション・ペイントパンツといったアイテムたちです。「ポペリズム」と呼ばれる貧困者風なスタイルは世界中に衝撃を与え、高い評価を受けました。
またMaison Margielaの特徴として「匿名性」が挙げられます。本来、有名ブランドのデザイナーはスターとして表舞台での露出が多かったりしますが、マルタン・マルジェラはメディアに登場しないことで有名です。服そのものに目を向けて欲しいと願う彼はランウェイで起用したモデルたちにもマスクや覆面を被して登場させていたり、今ではその匿名性がある種のブランドアイコンになっていたりします。彼がアンチモードやポペリズム、匿名性のような世間とは反するテーマを打ち出す度に、常識を覆すカリスマ性がフューチャーされ、皮肉なことにそれ自体が現在のトレンドとなってしまっています。
歴代デザイナー
Maison Margielaを設立してから2008年までデザイナーを務めたマルタン・マルジェラ 。彼の提案する革命的なデザインやコンセプトは多くのデザイナーに影響を与えました。
彼自身のキャリアとしては1977年に「名門アントワープ王立芸術学院」へ入学。同期には「アン・ドゥムルメステール」や「ドリス・ヴァン・ノッテン」といった有名デザイナー達がいます。、1984年、「ジャン=ポール・ゴルチエ」のショーに感銘を受けたをきっかけに、彼の元でアシスタントとしてアトリエ入りします。1988年から自身のブランドのデザイナーを務めつつ、1997年に「HERMES」でレディース部門のデザイナーを兼任しました。それは2003年まで続き、マルジェラ期と呼ばれるHERMESのアイテムは現在でも人気があります。
2008年にマルタン・マルジェラがデザイナーを退任。リーダーであるクリエイティブ・ディレクターが退任したら、すぐに新たな人物を着任させるのが一般的ですが、それを引き継いだのはMaison Margielaのデザインチームでした。ですが、やはりマルタン・マルジェラの功績があまりにも大きかったためブランド価値が著しく低下。2009年から2014年までクリエイティブ・ディレクターが不在の状態が続きました。
そこでブランドの転機となるのが「ジョン・ガリアーノ」の抜擢です。 匿名性を尊重しているMaison Margielaに対し、彼自身がアイコンとなっているジョン・ガリアーノがデザイナーとして就任することに賛否両論がありましたが、結果大成功を収めます。彼がクリエイティブ・ディレクターを務めた2015年以来、Maison Margielaの売上は倍増。中でもアクセサリー部門の売り上げは全体における約60%ほどになります。初コレクションでは相反する両者の主張が絶妙な融合を見せており、ブランドが進むべき新しいビジョンへの大きな一歩となりました。
カレンダータグのナンバリング
Maison Margielaのアイテムに縫い付けられている「カレンダータグ」。0から23が記されている特殊なタグはブランドの各ラインを表しています。丸で囲まれている番号はそのアイテムが属するラインを示していて、その内訳は下記の表通りです。タグにはブランド名こそ記載されていませんが、Maison Margielaらしい洗練された表現の仕方だと言えます。
ナンバリング | コンセプト |
---|---|
0 | Collection “Artisanal” for women&men 手仕事により、フォルムをつくり直した女性のための服 手仕事により、フォルムをつくり直した男性のための服 |
1 | the collection for women 女性のためのコレクション |
4 | A wardrobe for women 女性のためのワードローブ |
3 | collection of fragrance フレグランスのコレクション |
8 | Eyewear collection アイウェアのコレクション |
10 | The collection for men 男性のためのコレクション |
14 | A wardrobe for men 男性のためのワードローブ |
11 | A collection of accessories for women and men 女性と男性のためのアクセサリーコレクション |
12 | Fine jewellery collection ファインジュエリーのコレクション |
13 | Objects & publications オブジェ、または出版物 |
22 | A collection of shoes for women & men 女性と男性のための靴のコレクション |
MM6 | Garments for ♀ ♀のための服 |
MODESCAPEでは、Maison Margielaの買取を強化しています。お買い取りをご検討の際は、お気軽にご相談ください。
Maison Margielaの買取について
MM6とは?
正式名称は「MM6 Maison Margiela」。高価でハイエンドだったメインラインのセンスは残しつつ、リーズナブルで手の届きやすくなったレディースラインです。
独立したライン
カレンダータグの6番目「女性のための衣服(ガーメント)」で、Maison Margielaから独立した形で展開される「MM6」。クリエイティブ・ディレクターを務めているのは「ヘイキ・サロネン」で彼自身も「Vyner Articles」というブランドを手がけています。
MM6がリリースするのは、メインラインとは少しテイストを変えたカジュアルでベーシックなアイテム。グラフティックプリントやスポーツウェア・アウトドアウェア・幾何学的なシルエットなどを日常的にも使いやすいデザインに落とし込んでいます。元々はレディースラインとしてウェアやバッグ・小物類を展開していますが、シンプルであるためメンズも使えるユニセックスなアイテムとしても紹介されています。
数年前からファッショニスタの間で話題になったため比較的新しいセカンドラインと思われがちですがスタートしたのは1997年と長い歴史があります。価格的にどのアイテムもMaison Margielaと比べると安価なので若い世代からも人気。「ブランドを知る入り口」としても申し分ないと言えます。
また最近では有名ブランドとのコラボでも話題を集めるMM6。特にトレンドのトップを走るブランドとのコラボが多く、ファッション感度の高い人たちはもちろん、初心者の人でも一度は耳にしたことがあるブランドらが名を連ねます。そのため発売直後にすぐ完売し、古着市場ではプレミアが付くほど。
コラボアイテムも続々登場
話題になったMM6のコラボアイテムをご紹介。ブランドのエッセンスは残しつつ、新しい視点からのアプローチは秀逸。ジャンルの違うブランドとのコラボはMM6の認知を高め、さらには新規ファンの獲得という結果をもたらしました。
THE NORTH FACE
まず紹介するのが2020FWロンドンコレクションにて登場した「THE NORTH FACE」とのコラボアイテム。この時発表されたウェアは円を描いた前衛的なシルエットでした。ジャケットとベストの間を取ったようなフォルムはオーバーサイズでポンチョのようなデザイン。
THE NORTH FACEのマウンテンパーカー・フリースジャケット・ダウンジャケットのヌプシといった定番アイテムがMM6ナイズドされ、世界観がガラリと変わっています。もちろん機能面は損なわれておらず、700フィルパワーは健在。そして側面がダブルジップになっているので、袖口の位置をフレキシブルに変えることができます。
SALOMON
次に紹介するのがフランスを拠点にするアウトドアブランド「SALOMON」とのコラボ。様々なセレクトショップでも取り扱われるSALOMONのスニーカーは今もっとも熱量が高いブランドと言えます。テック感のあるアッパーやスキーやトレイルアクティビティに採用される機能面はまさにトレンドにフィットしたプロダクトです。
そんなSALOMONとMM6のコラボで注目を集めたのが「CROSS MID」。足首を包む特徴的なアッパーはテックとモードをミックスさせた秀逸なデザインに。ドローコードで簡単に調節可能で、スリッポン感覚で手軽に履くことができます。メンズ・レディース共に展開されており、モダンでハイブリッドな雰囲気を表現しています。
EASTPAK
デイパックの王道ブランド「EASTPAK」。バックパックをはじめ、ベーシックなバッグをリリースしていますが、MM6とのコラボではウィットに富んだアイテムが発表されています。
予想外のデザインはシュールレアリズムをベースに着想。バックパックの底の片方が大きく溶けたようなデザインのアイテム。サルバドール・ダリの「記憶の固執」を彷彿するようなテイストで個性的なバッグに仕上がっています。
もう1つ特筆すべきバッグはMM6のジャパニーズバッグをモチーフとしたハンドバッグ。バックパックに備わっているフロントポケットを搭載し、ブランドのアイコンを上手にコラボアイテムへと昇華させたファン歓喜のバッグです。
CHENPENG
出典 fashionpost.jp
MM6以前では「MONCLER」コラボしていたり、パリでコレクションも発表している注目のダウンブランド。カラフルな色使いや奇抜で特徴的なダウンジャケットをリリースしている「CHENPENG」とのコラボではシックなラインナップが並びました。
オールブラックで統一されていますが、切り替えの素材で遊び心を演出。光沢のあるナイロンと環境に配慮したフェイクレザーとのコントラストがコーディネートのアクセントになります。またどうしてもボリューム感が出てしまうダウンジャケットですが、丈はクロップドなのでバランスの取りやすいスタイリングが可能です。
クロップド丈以外ではロングコートダウンも展開。首元のボタンを止めるとマフラーのように包んでくれるギミックは冬本番に重宝します。
MODESCAPEでは、MM6の買取を強化しています。お買い取りをご検討の際は、お気軽にご相談ください。
MM6の買取について
Maison MargielaとMM6との違う点
両ブランドの概要を知った上で、次は違いについてスポットを当てていきます。主力であるアイコンアイテムやブランドロゴにはどのような違いが見られるのでしょうか。
ブランドロゴ
1番の明確な違いは両者のブランドロゴです。Maison Margielaはタグの隅を糸で縫い付けた「4ステッチ」。タグ自体も元々はカレンダータグではなく、無地の白タグでした。MM6ではストレートにステッチがあしらわれた、通称「水平ステッチ」。
どちらにも共通しているのはステッチを見ただけではMaison Margielaを知らない限り、ブランド名までは分からないという点。通常、ブランドロゴは名前やイニシャルをモチーフにしたものが多く、ブランドを知らない人が見ても「名前は分かる」という視認性の良さが大事になっています。ですがこのような仕様になっている理由は、マルタン・マルジェラが「ブランドネームに囚われることなく、服自体を見て欲しい」という思いから。
素材
メインラインとセカンドラインではアイテムの価格も変わってくるので、その分使用する素材にも違いがあります。如実にあらわれているのがレザーを使った皮革製品です。
Maison Margielaでは天然革を採用しています。経年変化によって風合いが出てくるので、使えば使うほど身体に馴染むアイテムへと仕上がります。値段は高くなりますが、長年愛用できるのが天然革の魅力です。
MM6では合成皮革を採用。SDGsの取り組みが行われている今、動物を傷つけない地球に配慮したレザー製品として重宝されています。また天然革より手入れが断然楽なのもポイント。レザーの大敵である水分に強いため、天候が悪い日でも安心です。
価格帯
Maison Margiela
アイテム | 価格帯 |
---|---|
Tシャツ | 4〜8万円台 |
シャツ | 10〜20万円台 |
パンツ | 10〜20万円台 |
アウター | 20〜80万円台 |
MM6
アイテム | 価格帯 |
---|---|
Tシャツ | 2〜5万円台 |
シャツ | 8〜9万円台 |
パンツ | 4〜8万円台 |
アウター | 9〜20万円台 |
価格帯を比べるとMaison MargielaはMM6に対し、約2倍ほどの差があります。 その分、MM6はメインラインの世界観は引き継ぎつつリーズナブルに手に入るため、若者を中心に人気を集めています。
コレクション
Maison Margielaでは創業当初からパリコレクションに参加。MM6では主にNYコレクション参加していますが、2016SSではロンドンコレクションでも発表しています。
パリコレクションは世界4大コレクションの中でも1番のスケールを誇ります。参加ブランドのステータスや世界からの注目度が高いため、他コレクションと比べると圧倒的な違いが見られます。
NYコレクションは現代的なファッションがラインナップされる印象。ランウェイに出てくる服といえば奇抜で派手なイメージがありますが、このコレクションでは比較的取り入れやすいデザインが登場します。
アイコンアイテム
Maison Margielaのアイコンアイテムといえば「タビブーツ」。日本の足袋にインスパイアを受けたこのブーツは1989年のコレクションで登場しました。二股に分かれたつま先はオリエンタルな雰囲気を出しつつ、ファッションとして独特なテイストを与えてくれます。
MM6のアイコンアイテムは「ジャパニーズバッグ」。2009年FWコレクションで登場した、日本の折り紙からインスパイアされたトートバッグです。独特な三角形のフォルムは、持つだけでコーディネートにアクセントを加えてくれます。定番のトートをベースにスモールサイズ・ショルダー・チェーン・ハンドバッグと様々な種類があり、年々アップデートされています。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
世界観は共有しながらも、細部ではしっかりと差別化が図られている両ブランド。Maison Margielaのハイエンドで上質なプロダクト、そして「服そのものに目線を向けてほしい」と匿名性を望んだマルタン・マルジェラ の思いはMM6でもブランドの礎として反映されています。現在マルタン・マルジェラはデザイナーを退任していますが、その意思を受け継いだブランドが発表する、次回のコレクションが楽しみです!
また、モードスケープでは、Maison Margiela とMM6のアイテムのお買取りを強化しております。 買い換えのタイミングやサイズの変化によって合わなくなることなどもあるかと思います。そんな時に、モードスケープにご相談していただければ全力でお力になります。 古いモデルやクリーニングやお直しが必要なものでも可能な限り良いお値段をおつけできるように吟味しながらお買取りしております。汚れやダメージがあるものでも、リペアを施して販売することも可能ですので一度ご相談ください。とりあえず値段だけ聞いて検討したいという場合は、LINE査定などで査定額を見積もることも可能です。お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
MODESCAPE
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